不安に悩まされる人必見!不安とは何なのか、その正体に迫る

毎日不安に悩まされる人は多い。それは学校であったり会社であったり様々であるが、人間関係、部活、仕事など人を悩ませる要因は多い。しかし、人は具体的にこれが不安というよりは、ぼんやりと何となく不安を感じていることが多い。これは何なのか。鈴木拓氏の著書、「最高の体調」より不安について解説する。

不安障害の患者は15年で2倍に増加

何となくぼんやりと不安を感じている人はかなり多いと思われる。不安障害の患者は全世界で13人に1人の割合で発症し、生涯を通しての不安障害の発症率は3人に1人まで跳ね上がる。これは高度化した文明が関与した「文明病」だという。

狩猟採集民と現代人の不安の違い

2017年にWHOが世界26カ国で行った調査によると、アメリカやオーストラリアでは不安障害の発症率は8%前後だったのに対し、ナイジェリアのような発展途上国ではたったの0.1%であった。やはり、何か文明には不安を促進するものがあるのだろうか。

原始時代の生活からひも解いてみよう。木々の奥には猛獣が潜み、草むらには毒性を持った植物が繁殖、獲物は必ず仕留められるとは限りない。文明時代より不安に満ちているように感じる。しかし、原始時代の不安にはシンプルで対処方法が限定的であるという利点がある。

その点、現代の不安は複雑である。現在勤める会社がブラック企業である場合、今後の生活を考えて辞めるべきか、別の進路を探すべきか判断に困る場面が多い。年功序列が崩れた日本では成果を上げるプレッシャーも増え、仕事や将来への不安はかつてないレベルで増大している。

また、コミュニケーションの不安は文明化の象徴である。SNSを通じたコミュニケーションはその利便性とは裏腹に無数のユーザーからの攻撃に合う可能性を秘めている。対して、狩猟採集民のコミュニティーは最大でも200人程度がリミットで見知らぬ相手とのコミュニケーションを取るケースはまず無い。対人関係の不安はほぼほぼ無いのだ。

要するに、原始的な生活において不安は「はっきりとした不安」であり、現代で問題となっているのは「ぼんやりした不安」と言える。

ぼんやりした不安が与える影響

第1に慢性的な不安は記憶力を低下させる。2013年インド国立生命科学研究センターが実施した研究によれば、常に何らかの不安を抱える人には脳の海馬が小さくなる現象が認められた。海馬は新しい記憶や学習能力に関わる部位である。

第2に不安は理性的な判断力を奪う。脳は通常衝動や欲望を抑えつけることができる。しかし、不安感が高まると衝動や欲望の働きが強くなり、理性的に物事を判断する能力が弱まっていく。

第3に不安は死期を早める。2013年の研究では、日常の不安レベルが高い人は心疾患や脳卒中のリスクが29%も上昇していた。理由としては、不安が強い人は自分を大事にしないからでは無いかと推測している。

なぜ現代人は不安をこじらせているのか?そもそも不安とは何か?

進化論では、ヒトが持つ性質や器官は全て何らかの理由があると考える。では不安の感情の存在理由は何なのか。それあ「アラーム」であると言える。何らかの情報を受け取り、その正体が分からなくても、イヤな予感がする。こういうときに不安の感情を作り出し、危険を回避する機能として作用している。

この機能は狩猟採集民においてヒトの生存に大きく関与してきたため、ヒトにとって不安を感じることは古代を生き抜いてきた証拠であるとも言える。またポジティブな感情よりも不安などのネガティブな感情は強いと言われており、現代においては正体のつかめない「ぼんやりした不安」が頭の中でアラームを鳴らしっぱなしにしていると思われる。

未来の遠さ:狩猟採集民に未来という感覚は無かったという驚愕の事実

私たちは「ぼんやりした不安」に悩まされている。不安定な仕事、子供の将来、体調の衰え、経済的な不安、一見バラバラに見える不安の原因だが、共通項がある。それは「未来の遠さ」である。

そもそも、人類に備わった不安はあくまで目の前に迫った危険へ対策を促すためのシステムえある。今より未来にある不安に対して作動するシステムでは無い。その結果、遠い未来に対してアラームの誤作動が引き起こされる。この誤作動はいつから始まったのか?

ターニングポイントは今から約2万年ほど前、農耕の開始だと言う。それまで狩猟採集で何万年も過ごしてきた人類からすれば生活はかなり一変する。その日暮らしだった狩猟採集生活とは違い、定期的に食料が手に入り、穀物を貯蔵できるようになった。これが、時間間隔の変化をもたらすことになる。

農耕を効率よく進めるためには長期的なタイムフレームが欠かせない。秋から初冬にかけて種をまき、変化の無い冬を耐えて待ち、ようやく初夏に収穫する。人類は初めて遠い未来を思い描くようになったのである。

アフリカ人には未来という感覚が薄いという調査結果があるという。当座の欲求で動き、長期的な戦略によって意思決定を下すことが無い傾向がみられた。同様に狩猟採集民もあくまでいまここ、がメインであり数年先を思い描くことが無いために、未来の感覚が生じ得ないと思われる。

まとめ

不安の原因について解説してきた。不安は文明により人類の中で加速し、元々の目的とは違った形で暴走してしまっている。つまり、あなただけのせいではなく、文明化が引き起こしている側面があるので、自分を責めずにできることを一歩ずつしていくことが大切なのだ。

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